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2018.09.13

朝日作曲賞続き

審査員は全く変わらない場合もありますが
今回は2名が変わりました。1次審査で、昨年と
同じ作品をよく残して頂いたなあと思っています。

詩は以下です。
タイトルだけだと二色の薔薇ですが
「夏の夜の薔薇」に様々な色の薔薇が
登場します。

大手拓次の詩による混声合唱のための
「七色の薔薇」

  一、黄色い薔薇

 五月(ぐわつ)の薔薇(ばら)はきいろです。
 やはらかに ねむりをいろどるけはひのなかに
 ふくらみをたたへ、
 おもひをゆたかにつつんでしめらひ、
 さびしさをなでさすり、
 かるがるとこもるすがたを封じ、
 ながれるこゑにさへ羽ばたかうとするときめき。

 五月の薔薇(ばら)はきいろです。
 うれひのうへに やさしくひろがるにほひです。
 それは なやみと かなしみとにはぐくまれた
 ところさだめぬ鳥のなきごゑです。


  二、 黒い薔薇

 どことなく くもりがちな、
 あたりにも うなだれをのみ見せ、
 うたがひの餌食(ゑじき)をなめる 
 この無風(むふう)の薔薇(ばら)。
 いつさいに ひえびえとする このばらのはな。
 おきどころなく喪心をつなぎゆくもの。

三、 夏の夜の薔薇
           
 手に笑(わらひ)とささやきとの吹雪する
 夏の夜(よる)、
 黒髪のみだれ心地(ここち)の眼(め)が
 よろよろとして、
 うつさうとしげる森の身(み)ごもりのやうに
 たふれる。
 あたらしいされかうべのうへに、
 ほそぼそとむらがりかかるむらさきの
 ばらの花びら、
 夏の夜の銀色(ぎんいろ)の淫縦(いんじゆう)を
 つらぬいて、
 よろめきながれる薔薇の怪物。
 みたまへ、
 雪のやうにしろい腕(うで)こそは女王のばら、
 まるく息(いき)づく胴(トルス)は黒い大輪のばら、
 ふつくりとして指のたにまに媚をかくす足は
 欝金(うこん)のばら、                                         
 ゆきずりに秘密をふきだすやはらかい
 肩(かた)は真赤(まつか)なばら、
 帯のしたにむつくりともりあがる腹はあをい
 臨終のばら、
 こつそりとひそかに匂ふすべすべした
 つぼみのばら、
 ひびきをうちだすただれた老女のばら、
 舌と舌とをつなぎあはせる絹(きぬ)のばらの花、
 あたらしいふらふらするされかうべのうへに
 むらむらとおそひかかるねずみいろの
 病気のばら、
 香料の吐息をもらすばらの肉体よ、
 芳香の淵にざわざわとおよぐばらの肉体よ
 いそげよ、いそげよ、
 沈黙にいきづまる歓楽の祈祷にいそげよ。


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2018.09.13

2018年度 朝日作曲賞審査結果

お久しぶりです。
怒涛(少年野球で)の夏休みが終わり、
Facebookには投稿しましたが、
うちの玄関に置き去りにされた子猫を見守りつつ
貰い手を見つけ、家族中で胸痛めながら送り出した
最中、2018年度朝日作曲賞の演奏審査(本選)が
秘密裏に行われ、第2位相当の「佳作」を
いただきました。実は同じ曲を昨年も応募していて
本選には残りましたが選外。楽譜の不備や諸々
があり、修正して再応募してみたわけです。
「2位じゃダメなんですか?」
やはりダメなんですね。だからこそ価値の高い
賞と言えます。佳作はお慰み。
朝日作曲賞を受賞されたのは川浦義広さん(25)。
私はほやほやの(50)なので私の半分の年齢では
ありますが、経験なんぞでは取り繕えない
様々なものを数倍お持ちなんだろうと思います。
私が年甲斐もなくコンクールに応募するのは、
干上がりそうな創作意欲に最後の活力を・・・。
死にかけのレイ(北斗の拳)が禁断の秘孔を突いて
最後の勇姿を見せようとする姿にかぶります。
音楽の教員をしていなければ、とっくに作曲活動、
音楽活動は終えていると思います。
後10年で終わりと思って今追われているいくつかの
ミッションを果たしでゆきたいです。

朝日作曲賞の審査結果ははこちら。

応募期間 2018年2月1日(木)~2月10日(土)
応募数 総数55曲(混声42曲、男声2曲、
      女声11曲)
審査員 今井邦男・鈴木輝昭・寺嶋陸也・
      野平一郎・信長貴富
審査日 第1次審査 3月28日(水) 譜面審査
      第2次審査 9月10日(月) 演奏審査

《朝日作曲賞》  賞金100万円・賞状・記念品
作曲者 川浦 義広(埼玉県ふじみ野市在住)
作 品 混声合唱とピアノのための組曲「甃のうへ」
           作詩 三好達治 / ピアノ伴奏付
      甃のうへ
      冬の日
      雪
      乳母車

*「雪」が2019年度全日本合唱コンクールの
課題曲に選ばれました。

《佳 作》   賞金10万円・賞状・記念品
 作曲者 西田 直嗣(群馬県前橋市在住)
 作 品 大手拓次の詩による混声合唱のための
「七色の薔薇」
        作詩 大手拓次 / ピアノ伴奏付
      Ⅰ.黄色い薔薇
      Ⅱ.黒い薔薇
      Ⅲ.夏の夜の薔薇

*「Ⅰ.黄色い薔薇」を会報「ハーモニーNo.188」
(2019年4月発行)に掲載いたします。      

楽譜の公開は11月の授賞式の後なので表紙だけ。
曲の内容、詩は次項でご紹介します。続く・・・
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