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2018.11.24

高木早苗ピアノリサイタルを聴く

ちょっと評論風に

このリサイタルの曲の調は、Ddur,hmoll,Hdurが
並び、hmollの近親調で統一が図られているように
見える。全体を通して聞けば、hmollの悲哀、
悲劇的な性質が全体を覆っていて、曲が隠し持って
いる闇の深いところにある精神性を強く感じ
させるてくれる演奏であり、彼女の現在の境地を
思わずにはいられない。

1曲目はその象徴とも言える、
シューマン:「暁の歌」作品133
コラール風なDdur の穏やかな旋律から始まるが、
もちろんそれに留まることなく、明け方の暗い森に
誘い込まれていくように感じた。4ヶ月後に湖に
身を投じるシューマンの秋の明け方の心情を思い
ながら聴いた。

2曲はスクリャービン:「ピアノソナタ第5番 作品53」
一応ロ長調か。
スクリャービンは、日頃無調と調性をミックスして
作曲することが多い私にとって楽曲として最も注視
してしまう作曲家。全体を通してドミナントの持つ
方向性を曲の形成に生かした作りで、演奏は
それを熟知していることをうかがわせ、高い分析力
を持ってこの曲を手中に収めていることが伺える。

3曲目はフランク:「前奏曲、フーガと変奏曲 
ロ短調」作品18
ロマン派の定型とも言えるバスの音階的下降を伴う
叙情的な旋律のあと、突然悲劇的な凝縮された
ゼクエンツが現れる。陰陽の対比が明瞭に表現
されていて、対位法的楽曲を得意とするピアニスト
の手腕が見事に発揮された演奏であった。

最後はリスト:「ソナタ ロ短調」
悪魔的主題(私の主観)が三楽章全体を
覆っているこのソナタを生演奏で聴くのは今年
2回目。切れめなく30分超続くこの曲は聴くほうに
も、体力、集中力を要求される。
高木さんのピアノには私がそれまで余り興味を持って
聴こうとしていなかった楽曲の見方をいつも
変えさせられるが、このソナタも同様であった。
主題や、装飾的な音形をしっかりと形作りながら、
音楽の流れは決して刹那的でなく、いつも全体の
形を見据えながら進行しているように見える。
この満足感を与えてくれる演奏にはなかなか
出会うことかできない。

昨年からジョギングを始めたと言う彼女は昨年より
心身ともに引き締まっているように見えた。
それにしても複雑な構造を持ち、高度なテクニックを
要する持つこの音楽たちに高木さんはどのように
向き合ってきたのだろうか。
麗しい写真の姿からはうかがい知れない信念が
貫かれたリサイタルであった
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